# 第二楽章


「うわぁ!」

俺は目を覚ました。

「夢、だったのかな」

俺はとりあえずポジティブに考えてみた。

「寒気がするくらいリアルな夢だったなぁ」

わざわざ独り言のように呟いているのは今尚ある恐怖感を紛らわすためだ。

「お兄ちゃんー、朝ご飯だよー」

陽子の声だ。なるほど、マジで夢だったらしいな。

町が崩壊して陽子がいつも通りなはずないだろうしな。

「今行く。」

俺はベッドから立ち上がった。

するとベッドには赤いシミがついていた。

「血じゃねぇ……よな」

俺はもう1回ポジティブに考えてみた。

そうだ、これはアレだ、アセロラジュースだ。そう考えながら 俺は足早にリビングへ向かった。

「おはよう陽子」

「おはようお兄ちゃん〜」

わが妹ながら元気な子供だなぁ。



陽子が6歳の時、俺たちの両親を殺された。

俺は大泣きしている陽子を見た。そのときから俺は陽子には苦労をかけさせないと心

の中で誓った。

だが4年たった今では家事を全て陽子にやらせてしまっている。

10歳にして掃除、洗濯、料理他いろいろなんでも出来る。

将来はいいお嫁さんになるだろうな。

泣き虫だけど。

兄である俺の行く末はフリーターだろうが。



飯も食べ終わり俺が制服に着替えていると、制服から1枚の紙が落ちた。

「ん? なんだこれ?」

その紙にはこう書かれていた。



『保持者 No.013』



これが何の紙で保持者とは何か、No.13とは何なのか、

俺には全くわからなかった。

「まぁいいや」

今度は深く考えないことにした。 その紙をゴミ箱に捨てて、俺は学校に向かった。




続く