# 第一楽章


 「おいおい、まじかよ」
そりゃ誰だってそう思うだろうよ。

目の前が数分間で焼け野原だぜ?
これが今世界の話題を独り占めしている『未来人』か。

しかしホントおかしな力使うなぁ。
なんだアレ?レーザーか?
青い光が通った場所が豆腐みたいに脆く崩れ去ってくぜ。
「とりあえず……逃げなければ」

俺は走った。
今なら長距離走でベン・ジョンソンにだって負ける気はしないさ。
それほど必死だったんだ。

でも、ここまでだな。
上から建物が崩れて落ちてくるし。
あー、終わったな、俺の人生。
せめて死ぬ前にかわいー子とキスくらいしたかったぜ。

これ落ちてきたら確実に死ぬよなぁ。
俺が死んでも妹の陽子は一人で生きていけるかなぁ……
あいつ泣き虫だし、心配だな。

剛にもお別れぐらい言いたかったな。
あいつにはこの前500円借りっぱなしだし。

「もう少し、生きたかったな……」



続く